国立劇場が閉場となり劇場を新国立劇場に移して2度目の公演は、坂東彦三郎さんが座頭を勤める「夏祭浪花鑑」と発表されました。
上方を舞台にした演目ですが、人気のお芝居ですので上演回数も多く中村吉右衛門さん、中村勘三郎さん始め、市川團十郎さん、片岡愛之助さんなど多くの役者さんが主役の団七九郎兵衛を勤めて来られました。
そして、2024年9月は坂東彦三郎さんが団七九郎兵衛を、義兄弟の一寸徳兵衛を坂東亀蔵さんが勤めるという事でとても楽しみです。
あらすじや見どころをまとめてみましたので、観劇の参考にしていただけたら嬉しいです。
「夏祭浪花鑑」ってどんなお話?
浪花の侠客とその妻たちの物語です。
1698年、大坂長町裏(現在の大阪市中央区日本橋)で起きた、殺人事件を題材にしています。
侠客というのは、正義のためには強者をくじき、弱者を助けるような気性や心意気を持つ人の事で主人公の団七もそういう男のひとりです。
一寸徳兵衛、釣船三婦もやはり同じ気性を持ち、恩ある人の役に立とうとする中で、団七にとっての義理の父親、舅の悪だくみをきっかけに団七が舅を殺してしまうという事件に発展してしまうというストーリー
「夏祭浪花鑑」に出てくる人々と配役
物語に大きく絡む登場人物をまとめます。
団七九郎兵衛(坂東彦三郎)⇔団七女房お梶(澤村宗之助)
団七は義侠心の強い魚売りの男。
しっかり者の女房のお梶との間には市松という息子がいます。
大鳥佐賀右衛門の家来との喧嘩が元で牢に入れられるも、玉島兵太夫の口添えがあって放免されたので恩を感じており、
兵太夫の息子玉島礒之丞(放蕩息子×女好き)を命をかけて守ろうとし、舅を手にかけてしまいます。
一寸徳兵衛(坂東亀蔵)⇔徳兵衛女房お辰(片岡孝太郎)
傾城琴浦に横恋慕する大鳥佐賀右衛門の命を受け団七にいいがかりをつける徳兵衛、そこにお梶が止めに入ります。
団七とお梶が夫婦と知った徳兵衛は、玉島兵太夫の家来筋であることを名乗り、団七と義兄弟契りを交わすのです。
お辰は一寸徳兵衛の女房、肝の据わったイイ女!
釣船三婦(市川男女蔵)⇔三婦女房おつぎ(中村歌女之丞)
侠客の親分で団七たちからしてみればずいぶんと年上、若い頃は無茶なこともしたが今ではすっかり落ち着いている。
とはいえ、義侠心は失っておらず、若い者が道理に合わないことをすればきっちりと〆る兄貴分で、団七と昔からの仲なので、団七のことは何くれと思いやっています。
おつぎは三婦の女房で悪気はないがうっかりさん。
大阪にありがちな気のいいおばちゃん。
玉島磯之丞(市川男寅)⇔傾城琴浦(中村玉太郎)
この二人は夫婦ではなく恋仲。
玉島兵太夫の息子、放蕩三昧のバカ息子で父親からは勘当されてしまう。
この男が、なんだりかんだりとこの芝居を引っ掻き回すのです。
大鳥佐賀右衛門(片岡松之助)
傾城琴浦に横恋慕し、磯之丞を失脚させ琴浦を自分のものにしようとするいけすかん親父。
三河屋義平次(片岡亀蔵)
団七の女房お梶の父親、金に汚くごうつくばりの爺さん。
「夏祭浪花鑑」の見どころ ここが楽しみ!
今回上演されるのはおなじみの住吉鳥居前の場、釣船三婦の場、長長裏の場の三幕です。
序幕 住吉鳥居前の場
大鳥佐賀右衛門の家来との喧嘩がきっかけで牢に入れられていた団七が放免される日。
女房のお梶が息子市松を連れて、釣船三婦(つりふねのさぶ)と一緒に、住吉神社の鳥居前まで迎えにやって来ます。
お梶と市松がお参りしている間に、駕籠に乗ってきた玉島磯之丞が駕籠かきにたかられていたのを三婦が助けます。
三婦は団七や徳兵衛よりも年上なんですが、旧知の仲の団七には協力的で牢から出てくるこの日も迎えに来ているという義理人情の人、最高のパイセンです。
粋に着物を着こなしている三婦の拵えを市川男女蔵さんがなさるとどんなお姿になるのかが楽しみです。
磯之丞の市川男寅さんの立役と併せて、親子の競演も楽しみです。
無事に放免された団七は髪も髭もぼさぼさのむさくるしい姿ですが、着替えをもらって床屋に入って、すっきりさっぱりかっこよくなる団七
ここはもう両の眼をバッチリ見開いて、坂東彦三郎さんのすっきりカッコいい姿を目に焼き付けてください。
初役なので誰も観たことはありませんが、カッコいいこと間違いなし!!
カッコよくなった団七は、磯之丞の恋人である琴浦が佐賀右衛門に捕らえられそうなところを助けます。
しかし一寸徳兵衛たち佐賀右衛門に命令されているのでそこは引けない。
団七と徳兵衛が争っているところを団七女房お梶が止めに入り、徳兵衛はお梶が団七の女房だという事を知ります。
徳兵衛にはお梶に恩があったのでした。
さらに、徳兵衛は玉島兵太夫の家来筋の者であるため、玉島家が絡むことであれば争ってなんかいられない、玉島家に協力すると、団七と徳兵衛は義兄弟の契りを交わすのです。
この争いのシーンからお梶が止めの入り、3人がピタリと決まるところが実に美しく、カッコいいので注目です!
ひとまず、琴浦は三婦が預かることにして、磯之丞は奉公に出そうということにいったん落ち着きます。
が、磯之丞は相当なバカ息子で、奉公先の娘と恋仲になり先輩の手代と揉めることとなり殺人まで犯してしまいます。
ここでもまた三婦や団七に助けられるという事件が起こっています。
二幕目 釣船三婦内の場
高津(こうづ)の宮の宵宮の日、三婦の家に徳兵衛女房のお辰が訪ねて来ます。
三婦の女房おつぎが磯之丞を預かって欲しいと頼み、お辰はそれを引き受けます。
若く美しいお辰に、色男で恋愛体質の磯之丞は預けられないと三婦は反対するのですが、
「色」を捨てて意地を通すとばかりにお辰は、おつぎが魚を焼くために使っていた鉄弓(鉄の串)を自らの手で自分の顔に押し当ててわざと傷を作ります。
この行いに感心した三婦はお辰に磯之丞を預けることにするのでした。
お辰の役は団七を演じる役者さんが勤められることも多いのですが今回は片岡孝太郎さんが演じられます。
お辰の漢気というか気風の良さ、一度引き受けたことは何としてもやり通すという気質が見どころです。
そんなところにまた面倒なのがやってきます。
そいつらを三婦が追い払いに出かけ、家を空けてしまいます。
そこへやって来るのが、団七の舅でごうつくばりの三河屋義平次。
団七の使いで来たと嘘をついて、琴浦を駕籠で連れ去ってしまいます。
実はこの義平次、琴浦を自分のものにしたい佐賀右衛門に金で売ろうとする企んでいるのです。
対応したのは三婦の女房おつぎ。
おつぎさーん、考えなしになんでもほいほい行動したらだめだよー
そこへ団七、徳兵衛、三婦の三人が一緒に帰って来ます。
おつぎは、義平次が団七からの使いと言って、琴浦を連れて行ったことを話しますが、そんな話に見覚えのない団七は、大急ぎで後を追います。
長町裏の場
団七は長町裏で義平次に追いつき、琴浦を返すよう懇願します。
しかし金に目がくらんだ義平次は聞き入れないので、石を30両の金と偽って団七は義平次に差し出し、なんとか琴浦を逃がします。
しかし、30両は石だったことを知った義平次は激怒し、団七に対しさんざんな悪態をつくのです。
義理とはいえ親、舅からの罵詈雑言に耐える団七ですが、とうとう刀に手をかけ、義平次は「斬ってみろ」と挑発します。
争うはずみに、団七は誤って義平次を傷つけてしまい、さらに「人殺し」と叫ぶ義平次を切り殺してしまいます。
そして団七は死体を泥の田んぼに沈め、通りがかりの宵宮のおみこしの人混みに紛れて逃げてゆくのです。
義平次を追う花道での見得から、義平次とのやり取り、舅を殺し田んぼに沈める「泥場」と呼ばれるシーン、遠くから聞こえる祭りの声、ここはもう全てが見どころ、聴きどころ。
薄暗い壮絶なシーンに絡む祭りの声が臨場感を生みます。
団七役の坂東彦三郎さんと義平次役の片岡亀蔵さんがどんな風に造形されるのか楽しみです。
公演概要
| 公演期間 |
| 2024年9月1日(日)~2024年9月25日(水) |
| 開演~終演予定時間 |
| 13:00~15:30予定(開場は開演45分前の予定) |
| 休演日 |
| 9日(月)・18日(水) |
| 劇場 |
| 新国立劇場中劇場 |
| 料金(税込) |
| 1等席:12,000円 (学生 8,400円) 2等席: 9,500円 (学生 6,700円) 3等席:4,000円 (学生 2,800円) |
お芝居の本編が始まる前に「入門『夏祭浪花鑑』をたのしむ」と題して、片岡亀蔵さんによる解説があります。
お話上手な亀蔵さんの解説なので、こちらも必見必聴です!
そしてさらに、新国立劇場小劇場では令和6年9月文楽鑑賞教室が行われており、文楽でも「夏祭浪花鑑」が上演され、夏祭セット割という一般券が1割引きになるプランもあるそですので両方観てみるのも楽しみですね。
まとめ
7月頃に坂東彦三郎さんのInstagramで、「夏祭浪花鑑」の団七をされることを拝見したときはビックリでした。
が、拵えをされた姿、さらに坂東亀蔵さんの徳兵衛とのビジュアルを拝見して、思わずカッコイイと声が漏れ、期待感が激しく高まりました。
初日を楽しみに待ちたいと思います。


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