【2024年10月歌舞伎座】錦秋十月大歌舞伎昼の部を観て来ました!

公演情報

やっと秋らしい気配が漂ってきた10月も後半、歌舞伎座の「錦秋十月大歌舞伎」を観てきましたので、そのあらすじや感想をまとめておきます。

昼の部は菊之助の「俊覚」、菊五郎・眞秀・右近の「音菊曽我彩」、松緑・獅童の「権座と助十」

「俊寛」で感動して、「音菊曽我彩」で美しい舞踊劇に触れて、「権三と助十」で江戸の風俗を楽しんでハッピーエンド、歌舞伎を観た感満載の昼の部でした。

平家女護島 俊寛

「俊覚」、私にとっては鬼門の演目です。

いつの時代にもある学生団体の鑑賞会、私も田舎の高校生時代に地元の文化会館でいろいろな学校の学生が集まって鑑賞する会に参加しました。

そこで生まれてみた歌舞伎が「俊覚」でした。

イキりたい、意気がり盛りの高校生には楽しい要素が何も感じられない舞台設定、俊寛の心根も、悲哀もなにも解らず(というかそもそもちゃんと観ていない)に終わりました。

それがトラウマになったのか、歌舞伎を観るようになってからも「俊覚」は入ってこない演目でした。

見た目もパッとしないし、幸せな結末じゃないし・・・何回か見ていますが寝てしまったりしてました。

が!今回の菊之助「俊覚」は違いました。

最後、俊寛の身のつらさに感情移入して泣けました。

芝居の後に出て来る緞帳を見てさえ泣けました。

やっと入ってきたのです。

「俊覚」は鬼界ヶ島に流された3人の罪人(俊寛僧都、丹波少将成経、平判官康頼)が、赦免され都に帰れるとなったものの、そのうちのひとり成経の恋人は連れ帰ることができない。

そこで俊寛がわざと罪を犯し、自分は島に残り恋人を船に乗せてやる。

とはいえ、俊寛だって人の子。

ひとりで島に残る寂しさや哀しみにさいなまれるというお話です。

尾上菊之助の俊寛僧都

ロクにご飯も食べられず、海藻を食べて生きているヨレヨレのぼろぼろの着物を着て木の枝を杖に歩く俊寛。

菊之助さんが演じるには若すぎない?見たくない!

そう思っていましたが、完全に俊寛というキャラクターに出来上がっていた上に、低めに抑えられた太い声がこれまでと全く違う菊之助さんで、リアリティがありました。

女方をされるときの美しい高音の声とはえらい違いでちょっとびっくりでした。

中村萬太郎の丹波少将成経

3人の中ではいちばん若い役、島の海女の千鳥ちゃんと仲良くなっちゃう男前。

やっぱり男前でしたし、俊寛や康頼をしたう若々しさや謙虚さが出ていてすっきりまとまっていたと思いました。

千鳥と一緒になるという嬉しい報せを持ってきて、3人と千鳥がささやかに祝うところは良かったねという気持ちになりました。

上村吉太郎の海女千鳥

かわいい、愛らしい、強い!

成経と一緒になることを俊寛に認めてもらい、康頼に呼ばれて揚幕から花道をすっごい駆け足で出て来るところ、でも恥ずかしすぎてまた戻ってしまうところがすごくかわいかった。

俊寛が瀬尾太郎と闘うところで、海女さんの道具で加勢しようとしたり砂を「えいっ、えいっ」と妹尾に向かって投げるところが強いんだけどいじらしくてかわいい。

吉太朗クンの大熱演!すっごくよかったです。

ちなみに流人のもうひとり平判官康頼(中村吉之丞)は仕事がしっかりしていて気働きの人という感じ。

御赦免船の使者 又五郎と歌六

俊寛ら3人の御赦免となることを伝えに来るのが、瀬尾太郎兼康(中村又五郎)、丹左衛門尉基康(中村歌六)、瀬尾太郎は赤っ面の悪役、基康は白い顔の良い役。

俊寛をチクチクいじめる瀬尾太郎は存在感たっぷり、最後には俊寛に殺されてしまう。

基康はすっきり、瀬尾太郎が俊寛に対するいじわるや、千鳥を一緒に連れて行けないという(まぁ、当たり前なんだけど)融通の利かないところを何とかしようとしてくれるのが基康。

存在感もあるし、見目麗しい。歌六さんハンサムだなぁ

緞帳が良い仕事した!

結局俊寛は独り島に残されることに。

成経、康頼、千鳥を乗せた船は島を離れて行く、それを見送る俊寛、離れていく船。

高い場所に上がって見送る俊寛、松の枝にすがって見送る、松の枝が折れる。

この松の枝が折れたところで涙がつつーっと、

実は俊寛、都に帰りたい最大の理由は残してきた妻の東屋に会いたいということ、

でもその妻が殺されたことを知り、自分は都に帰ってももう楽しい事はないからと、妹尾を手にかけ自分は罪人になり、千鳥が船に乗れるよう計らったのです。

これまでの私は、この俊寛が見送るシーンが嫌いでした。

腹を括ったはずなのにいつまでもいつまでもぐじぐじと去って行く船に手を振って嘆いているシーンが、ダメでした。

が、そこから落ちれば海というようなところまで行って手を振る菊之助俊寛にイヤな感じがしなかったのです。

ぐじぐじと引きずっているようには感じなかったのです。

泣けはしたけど希望もあるように感じたのでした。

そしていつものように定式幕が引かれ、黒・緑・柿色の幕になり、幕間となった時に緞帳が出て来ました。

荒波の中に岩が描かれたいつもの緞帳ですが、タイミングよく荒波に岩の絵の緞帳で、そこに俊寛がまだいるようで、その姿を探してしまいました。

音菊曽我彩 稚児姿出世始話

曽我五郎と十郎兄弟が、父の仇工藤祐経と対面し仇を討とうとするも、次の機会にと言われ通行手形をもらう「寿曽我対面」を季節を秋に仕立てたもの。

眞秀くんの年齢に合わせて五郎と十郎の幼名を使い、弟が箱王(眞秀)兄が一万(尾上右近)という名前で、二人は菊売りに扮して登場。

大磯の虎(中村魁春)の安定感と存在感、さすがです。

小林朝比奈(坂東巳之助)、荒事の拵えで存在感たっぷりでずっとひきつけられてました。

菊五郎親父様の工藤祐経は、動きはなかったけれど声とセリフは重厚感があってそこにいるだけでありがたい!

右近一万が眞秀箱王を支えるようにフォローしているのに兄弟愛を感じました。

豪華な舞台の作りと、役者の拵えなどなど歌舞伎を観ている満足感の高い一幕でした。

左近ちゃんの化粧坂少将は美しく、芝翫さんの鬼王新左衛門に橋之助さんの秦野四郎はスッキリでした。

権三と助十 神田橋本町裏長屋

年に一度の長屋の井戸替えの日、長屋じゅうの人が総出で井戸の大掃除をしています。

サボって昼間っから酒を飲んでいるのが駕籠かきの権三(中村獅童)、女房おかん(中村時蔵)が井戸替えには参加していますが、助十や助八らは不満たらたら

この夫婦息ピッタリ!とくにおかんが最高!なじみ過ぎていてちょっとビックリ

隣に住むのは駕籠かきの相方助十(尾上松緑)、助八(坂東亀蔵)兄弟。

この二人は本当に兄弟みたいで、クールな亀蔵さんの三枚目の弟っぷりがかわいい(*^^)v

井戸替えの最中に大阪からやって来るのが小間物屋彦三郎(尾上左近)。

父の彦兵衛が無罪の罪を着せられ獄中死した汚名を晴らしたいと、大阪からやってきたので大阪弁のセリフなのだが、いまひとつそれになってなかったのが残念。

大阪出身の役者を使えばいいのに、、、

逆に、松緑、獅童、亀蔵の江戸弁で丁々発止のやりとりは、これぞ江戸!

気持ちいい!!

彦三郎の話を聞くうちに、事件が起こった夜に不審な男を観たことを思い出す。

が、大岡越前が裁きを付けた事件に再審議を願い出るなんて、切腹案件になりかねない。

家主六郎兵衛(中村歌六)も参加して思案を巡らし、再審議してもらえるように権三と助十が怪しいと、二人を縛ってを縛って奉行所へ連れて行くことにし三人で出かけていく

権三と助十が、天水桶の水で光るものを洗っていたと証言し、左官屋の勘太郎(中村吉之丞)が捕らえられたのだが、釈放されてしまう。

彦三郎とか勘太郎とかややこしいな(^^;)

釈放された左官屋勘太郎が酒を持ってあいさつにやって来る。

皆に向かって慇懃無礼な口調でグチグチと嫌味を言うわ、すごんで見せるわ、その上猿回しの猿の首を一ひねりして殺してしまうわと。

いやな気分にさせまくる。

勘太郎が不気味な怖さに対し、長屋のメンバーのビビりっぷりが笑える。

大岡越前は犯人は勘太郎だと見ていて、証拠をつかむために一時釈放し泳がせていたわけだがまんまと証拠をつかまれて、捕まえられてしまう。

そしてさらに大岡裁きは続いて、彦兵衛が死んだといううその情報を流すことで真犯人をあぶりだそうとしたという作戦で、生きていた彦兵衛(中村東蔵)は無事息子と再会してめでたしめでたし。

藤蔵さん、お元気そうでなにより。

このお芝居を通して、松緑と獅童は意外と手が合うのかもしれないと思った。

これは、来月の「あらしの夜に」も楽しみになってきた。

そして、獅童・時蔵の長屋夫婦をもっと見てみたい!!

魚屋宗五郎とかきっとハマると思う。

まとめ

そんなわけで、俊寛トラウマも乗り越えることができ、最後は江戸の世話物で楽しい気分で打ち出しとなったのでした。

長文にお付き合いくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

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