2025年3月の歌舞伎座は、三月大歌舞伎通し狂言「仮名手本忠臣蔵」と銘打って、歌舞伎座では12年ぶりに「仮名手本忠臣蔵」が通しで上演されました。
しかもダブルキャストで、国宝、ベテラン、若手が家を超えて一つの座組になり舞台を創造する様を拝見できるまたとない機会となりました。
特にBプロの夜の部は、早々に売り切れの表示となる日程もありました。
Bプロ千穐楽の3月26日に昼夜通しで拝見できる幸運に恵まれましたので、感想や思ったことをまとめておきたいと思います。
夜の部は五段目からでです。
通し狂言仮名手本忠臣蔵
五段目
山崎街道鉄砲渡しの場
早野勘平(勘九郎)が雨の中鉄砲の火を消してしまい、難儀しているところに通りかかる千崎弥五郎(巳之助)。
勘九郎勘平は、すっかり猟師の仕事が板についた感じで純朴な青年にさえ見えてしまう。
巳之助弥五郎は力強く、塩谷の家臣、侍である存在感が強く、声も大きい。
その二人が、地面に書く筆談で、仇討ちの企てがあることを共有し、勘平は金の工面を約束する。
山崎街道二つ玉の場
勘平の舅、おかるの父与市兵衛、おかるを祇園の一文字屋に奉公に出した身代の半金50両を懐に入れて、山崎街道に差し掛かる。
雨の中、提灯の火を消してしまい、掛稲の前で一休み。
掛稲の中から白い手がにゅっと出てきて、与市兵衛の50両を強奪し、刺し殺してしまう。
掛稲の中から出てくる斧定九郎(隼人)、
周りの女子が全員オペラグラスを目に押し当てていました。
私はこれを観るために、この日のチケットを手に入れたと言っても過言ではないくらい。
はんなりした男前役もいいんですが、やはり色悪(男前の悪役)をもっとやってほしいので、私的大ごちそうでした。
「50両」のセリフもばっちり決まって、再び掛稲の中へ、
勘平が打った鉄砲の弾が定九郎に命中、口から血を流しそれが白い足にポタポタ、
あーなんてセクシー、悪の色香が、はい、贔屓は引き倒し、推しは推し倒します!!
イノシシを撃ち仕留めたつもりの勘平がやってきて、イノシシじゃなくて人間を撃ち殺したことを知り、薬を持っていないかと海中を探ります。
そこで、手に当たるのが、与市兵衛から奪い取った50両、
お金が欲しい、悩んだ末勘平はそれを自分のものにしてしまいます。
舅を殺した仇だから、殺しても、お金をもらっても咎められることはない。
元々はおかるが身を売ったお金だし。
六段目
与市兵衛内勘平腹切の場
ただ、そんなことは知る由もない勘平、家に帰るとさらなる悲劇が・・・
(なんでこんな大事なことを家族間で話しておかないの?と思いました)
帰宅前に、千崎弥五郎にお金を届け、仇討ちメンバーへの参加を許可してもらえるようにお願いして、帰宅。
身なりを整えて千崎の来訪を待ちます。
そして、おかるの身売りの話を聞かされ、由良之助からは仇討ちへの参加は却下され、お金を突き返され、そして舅を殺したのは自分だと早とちりして、腹を斬ります。
千崎弥五郎と不破数衛門(歌六)が、与市兵衛の死体を確認し鉄砲の弾がが当たった痕跡がないことが確認され、
舅殺しの敵討ちであると認められ、仇討ちの連判状に血判を押すことを認められます。
この、勘九郎勘平がとてもドラマチックで、おかるとのやり取り、義母のおかやに舅殺しを責められるところ、仇討ちに参加したい一心、
そんな言葉や所作のひとつひとつ、に人間臭い勘九郎勘平に心を揺さぶられました。
お父さんの匂いを感じることがなかった芝居は、今回が初めてかもしれないです。
七段目
祇園一力茶屋の場
いよいよ待ちに待った仁左様のご登場です。
祇園一力茶屋の場での由良之助といえば、歌舞伎座では吉右衛門丈でした。
私は、仁左様の由良之助は初めてなので、とても観たい夜の部でした。
酔っぱらって茶屋遊びに耽っている様子を見せる。
特に扇子を襟に刺してふらふらしているところや、横になって寝てしまうところなど、
遊び慣れてる感じが大人っぽくて、若手には出せない味だなぁと
由良之助の嫡男、大星力弥(左近)若者らしくテキパキしていて、頭もいいんだろうな、
左近力弥、まさにそんな感じでした。
遊女となったおかる(七之助)、やっぱり色っぽいわ。
由良之助との見た目の良さもばっちりで、由良之助からの身請けの話、3日だけ妻になれば暇を出すという言葉に、何度も
「3日」「3日」と確認するところがいじらしくてかわいい。
十一段目
高家表門討入りの場
いよいよ討ち入り。
参加を許された平右衛門が、高家の表門をぶっ壊そうとしていていきなり活躍!
高家奥庭泉水の場
夜の部の泉水の場は、高家側小林平八郎(萬太郎)、塩谷側竹森喜多八(橋之助)。
若い二人の一騎打ち、手数の多い尾一騎打ちは見ごたえありました。
正直に言うと、Aプロは体力的にキツそうな気がしましたが、
Bプロはまだやれそうな感じがして、安心して観ていられました。
高家炭部屋本懐の場
そして、炭置き場に隠れた師直が追い詰められ、潔く切腹もできず、
「御免!」と由良之助が九寸五分を突き立て、首を取るシーン。
この「御免!」に由良之助の討入への思いが凝縮されていたように思います。
引揚げの場
花水橋の向こうから塩谷の家臣が橋を渡ってくるところは何度見ても壮観!
本懐を遂げた家臣たちのすがすがしい気分に感情移入してしまう。
センターに立つ由良之助、仁左様は背が高いのでさらに映える、
槍の先に師直の首をぶら下げた平右衛門が胸を張っている姿にも熱いものhが込み上げてくる。
家臣たちが菩提寺へ向かい、門前に一人たたずむ由良之助、いつまでも観ていたいシーン。
まとめ
大作になってしまった三月大歌舞伎「通し狂言仮名手本忠臣蔵」の観劇記ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。
ここまで見てしまうと、全段通しで観たくなりますし、今回は出演がかなわなかった市川團十郎白猿さんや、松本幸四郎さんも観てみたい気がします。
それと3月の通しを観る前に、「双仮名手本三升裏表て、忠臣蔵」が上演され、それを拝見できたことで、より理解しやすかったように思いまして、團十郎さんにも感謝です。


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