【観劇レポ】秀山祭九月大歌舞伎通し狂言「菅原伝授手習鑑」昼の部を観てきました!

観て来ました!

2025年9月、歌舞伎座では通し狂言『菅原伝授手習鑑』が上演されていました。

ひとつの演目を序幕から大詰までを全幕通して上演することを指します。

今年は、松竹創業130年の記念の年なので、3月の『仮名手本忠臣蔵』、10月の『義経千本桜』と共に、9月は『菅原伝授手習鑑』の通し上演となったわけです。

出演俳優はAプログラムとBプログラムに分かれて、一つのお役を2人の俳優が勤めるということで、さらに

まだ一度も観たことがない幕も上演されるということで、張り切って歌舞伎座に行って参りました。

簡単なあらすじや感想をまとめておきます。

菅原伝授手習鑑 昼の部 Aプロ

加茂堤

醍醐天皇の弟、斎世親王(中村米吉)と苅屋姫(尾上左近)が人目を忍んで牛車の中でおデートできるようにセッティングしたのが桜丸(中村歌昇)と八重(坂東新悟)夫婦。

若い二人は、桜丸夫婦もアテられるくらい甘いひと時を過ごします。

そこに現れる敵方の三善清行(坂東亀蔵)

ふたりが隠れて逢瀬を楽しむ仲だなんて発覚したら大スキャンダル!

その手柄が欲しくてチクチク詮索する三善清行は、白塗りのマロ眉毛で面白味のある敵役。

それがピッタリとはまって、味のある三善清行。

亀蔵さん、新たな一面でした。

尾上左近さんの苅屋姫がかわいくて、かわいくて、斎世親王の顔もまともに見れないかわいい女の子のいじらしさが溢れていて、かわいいなぁ

桜丸と八重は息ぴったりのいい夫婦。

ふたりの事情を呑み込んで心得ている感がこの幕を盛り上げていました。

私は「そろそろお手水を」「いやお行水」のくだりが好き。

歌昇さんの訳知りたくらみ顔と新悟さんの微笑みに味があって、このふたりの心遣いが後にまさかの悲劇を生むなんて、、、

そして、斎世親王と苅屋姫はふたりで駆け落ちしちゃうのです。

筆法伝授

菅丞相(片岡仁左衛門)は秘伝の筆法(書道の奥義)を伝授せよと帝からの命を受けて、かつての家臣の武部源蔵(松本幸四郎)を呼び出します。

武部源蔵は、腰元の戸浪(中村時蔵)と恋仲になり菅丞相から破門されてしまいます。

この時代は職場恋愛は御法度だっのです。

ただ、書道の腕前は認められていたので、あらためてそれにふさわしいか否かをテストされるという場面です。

この場面には、左中弁希世(市村橘太郎)という不思議キャラが出てきます。

筆法を伝授されるのは自分だと思い込んでいたのに、破門された弟子が出てきて目の前で伝授されようとしている。

気に入らない希世はあれやこれやと、手出し口出し。

この場面はそんな笑えるところではないのですが、いい味出してくる希世橘太郎さん。

緊張感ある重めの場ですが、この希世の存在が面白味として加わることで、武部源蔵夫妻の忠義や菅丞相への思いがより濃く感じられるように思いました。

幸四郎さんの武部源蔵、中村時蔵さんの戸浪、思いがにじむ出るような二人の芝居が良かった。

仁左様の菅丞相はそこに存在するだけでありがたく、神々しくて「これを拝見できる幸せ」を感じられる存在でした。

武部源蔵、戸浪夫妻はこれを機に勘当を解かれたい思いがいっぱいなのですが「伝授は伝授、勘当は勘当」と突き放されてしまいます。

菅丞相さんだってつらいんだよなーと思いたい。

そして、宮中へ参内するようにとの命が届き、出かけて行く菅丞相。

敵方の左大臣、藤原時平が帝に「菅丞相が娘の苅屋姫を斎世親王の妃にして帝位に就かせよう」としていると告げ口をして、菅丞相に流罪が言い渡されます。

そして、菅丞相に仕える梅王丸(中村橋之助)が菅丞相の子供の菅秀才(中村秀之介)を武部源蔵夫妻に託し、家に連れ帰ります。

橋之助梅王丸は今回のプログラムでは珍しく朝から晩まで梅王丸を勤めています。

そのせいか、橋之助梅王丸がいい仕事してくれた感が強くて、頭の中がこんがらがることもなく安心して観られました。

道明寺

藤原時平の策略により、大宰府へ流罪となる菅丞相。

道中で立ち寄ったのが伯母の覚寿(中村魁春)の館。

ここに苅谷屋姫が匿われています。

苅屋姫は覚寿の実の娘で菅丞相の養女なのですが、実の娘のように大切に大切に育てられたのです。

そんな娘がしでかした斎世親王との恋がきっかけで、養父を窮地に追い込んでしまった。

そんなことが覚寿に許せるわけもなく、苅屋姫とその姉立田の前(片岡孝太郎)を杖でたたくたたく。

もう、見境の無くなったお年寄りの無限の迫力、怖さが凄くて、これまで見て来た魁春さんのなかで一番と感じたお役でした。

目元の赤いメイクが特徴の魁春さんなんですが、このお役ではそれもなくて迫力がありました。

それを止めさせる菅丞相。

一目会って、謝りたい苅屋姫の目の前に現れたのが、菅丞相が彫った本人の木像。

そんなところに悪だくみをする奴はやって来るもので、菅丞相を暗殺しようと宿禰太郎(尾上松緑)と土師兵衛(中村歌六)が来ます。

宿禰太郎は立田の前の夫なのにあっさり藤原時平側の手先となり、挙句の果てに自分の奥さんを殺して池に沈めてしまうというとんでもない男です。

赤っ面と言われる濃い肌色のメイクに、緑のベロア風の着物の裏地は柿色。

この人あまり賢くない小悪党なんですが、松緑さん演じる宿禰太郎は本当に憎らしい男でした。

一番鳥が鳴いたら旅立つ菅丞相、偽の鳥を連れてきて一番鳥より先に鳴かせて、菅丞相を拉致しようという計画です。

そして、連れ去られる菅丞相。

この時の菅丞相は例の木像で、仁左様の動きも人形が動くようなカクカクした動きで、オーラも無くて明らかな違いを感じましたT。

この後ちょっとした箸休め的な展開で、奴宅内(中村芝翫)が登場します。

殺され、池に沈められた立田の前を見つけ出し池の中から引き上げ、物語を次に繋ぐ重要な役割です。

ふんどしと腹巻だけの姿で、コミカルなセリフで場の空気を変える宅内。

男前の芝翫さんの飄々とした面白味の中にある品の良さに、この人もまた「坊ちゃん」だったんだなぁと感じました。

そして再び覚寿が活躍して、宿禰太郎を討ち取ります!!

ざまあみろ!!

いよいよ本当に菅丞相の旅立ちの時。

判官代輝国(尾上菊五郎8)がやって来ます。

この判官代、輝国というだけあって本当に光り輝くように美しいの。

周りを光が取り囲むようで、でもさりげなくて、「菊五郎ですよー、音羽屋ですよー、」みたいな押しつけがましいところが全くなくて素敵でした!!

そして奥の間から再登場する菅丞相。

さっき籠に乗って旅立ったのは木像だったのです。

いよいよ菅丞相との別れのシーン。

耐え切れずに父の着物の裾にすがって泣く苅屋姫にそっと渡される形見の扇。

尾上左近というまだハタチにもならない役者の苅屋姫が、御年81歳国宝の菅丞相に間に合ってよかった。

良かった良かった。

その場に一緒に居られたありがたさも加わって、来るものがありました。

今思い出してもじんわりと来る。

菅原伝授手習鑑 昼の部 Bプロ

Bプロは、昼夜通しで3階東の袖で観ました。

座席の場所を深く考えないまま焦って切符を買ってしまったもので、着席してから思い出しました。

そうだ、この席は舞台が半分見えないんだ(+_+)、しかも昼夜同じ席( ノД`)シクシク…

そうです。

3階の東の袖は花道は見えるけど舞台が半分見えないので、あまりお勧めできない席です。

そんな環境下でしたので、心に残ったことをまとめます。

加茂堤

ほぼほぼ牛しか見えず。

最後に八重(中村種之助)が牛を宥めて手名付けて連れて行くところに和む。

斎世親王が苅屋姫になってて、八重が斎世親王になっててプチ混乱。

亀蔵さん安定の三善清行

筆法伝授

いよいよ、菅丞相(松本幸四郎)の伝授。

幸四郎さんは声も安定していて、お役にもしっかり収まってらして「ああよかった」の心持でした。

そしておろしたての畳のような、イグサのにおいがしてきそうな武部源蔵(市川染五郎)、玉様に教わったというう発声が活きているのか、声が太くてしっかり届く声。

若くて固いという印象は否めなかったけれど、誰だって最初は初役だから、この先何度も演じるんだろうし、先が楽しみ!

そして、「染五郎ちゃんの武部源蔵の初役を観てるのよ」って自慢したい!する!

で、梅王丸(中村橋之助)塀の上での見得もキマって、カッコいいなぁ

菅秀才(中村秀之介)を抱っこして源蔵に託すところ、菅丞相様のお身代わりが橋之助から染五郎に渡るところ、近未来が来たって気がした。

道明寺

そんなわけで、菅丞相は無事に伝授されました。

1か月間の精進潔斎をして挑んだという幸四郎菅丞相は満足度の高いものでした。

幸四郎さんは新作から古典まで、色男からコミカルキャラまで何でもできるけど、

時々器用貧乏が顔を出すこともあり、お疲れなのかなと思うことも多く、

9月も心配しなかったとは言い切れなかったのですが、

確かに今、菅丞相を伝授してもらえるのはこの人しかいないなと納得しました。

宿禰太郎(中村歌昇)はキャラ的に違ってる(ニンが違う)気がしました。

これまでにこのお役を勤めてこられた方々より小柄だし・・・

ただこの役を勤めるという気概は感じました。

是非歌昇さんにも菅丞相を、お願いします。

で、奴宅内(坂東彦三郎)

ああなんでこの席にしちゃったんだろう?と切符を買った日の私をナグってやりたい。

あの声であのセリフ回し、この先また上演されることもあるかと思うので次回は1等席でリベンジします。

まとめ

2025年9月、歌舞伎座では通し狂言『菅原伝授手習鑑』が上演されていました。

主要な役をダブルキャストで勤め、30年間不動の菅丞相として片岡仁左衛門さんが勤めてこられたお役を松本幸四郎さんが初役で勤めるということも話題になりました。

秀山祭という播磨屋に縁の深い興行で、古典を大切にしてこられた中村吉右衛門さんの遺志を継いで、古典歌舞伎の伝承が行われたことは意義のある1か月だったと思います。

 

 

 

 

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