2025年12月、歌舞伎座で開催された十二月大歌舞伎を観てきました。
十二月大歌舞伎は、三部制で上演されまして、
第一部は中村獅童さん率いる『超歌舞伎 Powered by IOWN世界花結詞』
第二部は尾上松緑さんの『丸橋忠弥』と中村獅童さんと寺島しのぶさんが歌舞伎座で夫婦役を演じる『芝浜革財布』
第三部は坂東玉三郎さんと市川染五郎さんの『与話情浮名横櫛』に8月の初演から早くも再上演となる『火の鳥』が上演されました。
十二月大歌舞伎 第一部
超歌舞伎 Powered by IOWN 世界花結詞
正直なところ、12月の1部はお休みしてもいいかなと思っていたのですが、
配役に、中村歌昇さん、中村種之助さん、尾上左近さんのお名前があるのを見てこれは行くしかないとチケットを手配しました。
会場の中にはペンライトを手にした方がたくさん。
一目見てその筋の人とわかる方もいれば、おじいちゃんおばあちゃんとお孫さんや、普段はシュッと歌舞伎を観ている風のご婦人もペンライトを手にしていて、
超歌舞伎にはペンライト持参が浸透しているんだなと思いました。
開幕前には、獅童ツインズによる前説、この10年間の振り返りがあったけど、初音ミクちゃんはあんなによくできているのに、獅童ツインズの方はまだまだ技術革新を要す感じでした。
幕開きでいきなり登場するのが、歌昇鬼童丸。
前半の古典歌舞伎をベースにした部分は、歌昇さん、種之助さん、時蔵さん、猿弥さん、青虎さん、門之助さんらががっつり固めて、
獅童さんに役名はあるものの、終始中村獅童のまんまだったような(^^;)
そんで、左近ちゃんの白鷺の精霊がかわいい、きれい。
実は将門の娘であったという初音ミクちゃんが勤める傾城七綾太夫が殺され、その呪いによって毒蜘蛛の姿で蘇る。
この毒蜘蛛に心奪われました。
心の中で「蜘蛛っ!」「タランチュラっ!」と大向が出てしまった。
そしたらやっぱり「タランチュ屋」という屋号の方でした。
超歌舞伎本日貸切公演でした。
今回の公演で初めてタランチュ屋!!の大向こうの声が聞こえてとても嬉しかったです🕷️✨
残り6公演!あっという間だなー!一回一回歌舞伎座の舞台を踏みしめて!頑張ります💪🏼🔥#超歌舞伎#大向こう#タランチュ屋 pic.twitter.com/sRS6Pt5KsC— 内木克洋 (@naikikatsuhiro) December 20, 2025
ストーリーが一気に動き始め、戦いのシーンも盛り上がって来て、
附け打ちさんも大活躍!
ここで感心したのは附け打ちさんもペンライトを持って?それとも装着していたのか?
この辺の芸の細かさにも感心しました。
エンディングに向けて獅童さんが煽る煽る!
マイク装着なうえに大きい声、演奏の音量に、附け打ちの音、
歌舞伎座がビリビリしてる感じで、この辺は耳に厳しかった。
ただまぁ、この超歌舞伎の座頭という芸は中村獅童ならではの芸だと思うので、活きる道を作ったことはあっぱれじゃ!!
十二月大歌舞伎 第二部
丸橋忠弥
由井正雪の乱に加担したとされる浪人丸橋忠弥が主人公の物語。
正義感と現実のはざまで揺れる心情や、仲間との絆、裏切り、悲劇的な最期などが描かれます。
序盤の、中元たちと一杯やるシーンで、ちらほら見える膝の痣が痛々しい。
が、脚線美、立ち姿が美しい!
ただゴキゲンに飲んでるシーンは、好きだな。
忠弥女房おせつの雀右衛門さんが、かわいらしくて健気で大好き。
倒幕を狙っていとされて、追われる身となり捕手に囲まれる忠弥。
そりゃ、膝にあざもできるわと思うくらいに激しい立ち回りを観ていると、
松緑さんと捕手の役者との間に確固たる信頼関係がないとできないだろうなと思わせる。
鴨居をはずして暴れまわる松緑さん、縄やら槍やらで応戦する捕手
圧巻でございました!!
芝浜革財布
私獅童さんの世話物は好きです。
超歌舞伎でガオガオしている獅童さんより世話物の抑えた感じの獅童さんの方が味があるように思います。
今回は酔っぱらうシーンで、強力な破壊力を発揮してしまったけど、
3年後の大晦日のところに情感があってよき。
長屋での酒盛りのシーン、こんな風にして飲めたら楽しいよなー
梶原善さんは出てもらえるだけでありがたい存在なのかもしれないけれど、あの方である必要はあったのかな?
そして寺島しのぶさん、こちらも出てもらえるだけでありがたい存在なのかもしれないけれど、うーん。
蛤鍋食べたい。
十二月大歌舞伎第三部
与話情浮名横櫛 源氏店
死んだはずだと思っていた昔の恋人お富(玉三郎)さんが生きていた。
しかも別の男の愛人となって、自分(与三郎・染五郎)は体中に傷をつけられて海に放り込まれ死んだかとお互いに思っていたふたり。
強請に入った家にいたのがいお富さん、強請の男与三郎と蝙蝠の安五郎(幸蔵)。
そこに帰宅するのがお富さんの旦那の和泉屋多左衛門(権十郎)
お話の導入部分で、お富さんの気を引こうとわちゃわちゃするのが番頭藤八(市蔵)。
さえない小物のおじさんの健気な様子と湯上りの玉様がお化粧してきれいになって行く様子。
舞台の上で艶を増していくのはさすが玉様!
ちょっとおかしみのある様子。
こういう時の玉様は、おじさんを上手くあしらいながら、ちゃきちゃきしている江戸の姐さんな感じで好き!
正に小股の切れ上がったいい女。
強請に入った与三郎が元恋人だとわかると一気に乙女返り。
与三郎が玄関先是ふてくされたように座ってるところ、美しい!
そして足がきれい!色悪の足はこうでなくちゃ!!
旦那とはエッチな関係もないと、あなたのことを忘れた日は一度もないと懸命に訴える姿がいじらしくて、
旦那の多左衛門が帰宅し、事情を理解して小商いでも初めて生活を立て直せと、それなら添わせてやるとお金を渡され、
蝙蝠安と花道を返っていくシーン。
もらったお金を分け合っているから、生活再建とか何も考えていないのだと思うけど、まぁよし。
急用で、多左衛門が出かけた後に戻ってきた与三郎とお富さんが愛を確認しあって幕・・・。
染五郎、声もいいしセリフもいいし!
色恋のムードが強いのが、玉様を手玉に取る系の相手役が素敵!
『源氏物語 六条御息所』の時も思ったけど、この若さでこの色気は彼のすんごい才能!!
火の鳥
8月に観た「火の鳥」よりもさらに進化、深化。
かなり手が加わっていました。
染五郎ヤマヒコ、左近ウミヒコ兄弟の関係性が明らかに兄と弟で、
年齢差も8月の設定よりさらに年が離れている感じで、3、4歳は違う印象。
そのコントラストが解りやすくてそれと、ふたりとも太陽。
太陽と月じゃなくてふたりとも太陽で、兄を慕うまっすぐな左近弟が今回のストーリーにはぴったりだなと思いました。
侍女の笑也さんのい声が聞こえると安心感が漂う。
侍女の笑三郎さんの声が聞こえると「草薙剣持たせてあげてー」と思ってしまう。
侍女芝のぶさんんの俗っぽいところも好き( *´艸`)
中車大王からの命を受けて、火の鳥を捕まえる旅に出る息子たち。
父から与えられた金の箱を小脇に抱えて山道を行くのはさぞかし大変だろうな・・・
弁慶みたいに背負うのは、玉様的にはNOなんだろうな(^^;)
ヤマヒコ・ウミヒコの道行は兄弟愛に溢れてまして、ジーンと来るシーンでした。
新悟イワガネが、またもいい味を出してる。
若いのにあのオババ感が良くて、あれもこれもと観たいお役が沸いてくる。
玉様火の鳥登場!
赤い布の演出と全身タイツのダンサー達が美しい!
ウミヒコが父の元へ戻り、捕まえたと思って金の箱に入れたはずの火の鳥は箱にはおらず。
死んだはずのヤマヒコは父の命を成すことができないまま帰り着き、そして現れる火の鳥。
大王に、永遠の力とは肉体が生き続けることではなく魂が生き続けることだと切々と語ります。
そして心を入れ替える大王と家臣たち。
このあたりのセリフの応酬はさすがの中車さん、
最後は玉様火の鳥が飛翔して、
悪い人が誰も出てこない幸せなエンディングでした。
まとめ
2025年12月、歌舞伎座で開催された十二月大歌舞伎の観劇レポートです。
獅童さんの超歌舞伎、松緑さんの『丸橋忠弥』、しのぶさん獅童さんの『芝浜革財布』、玉様の『与話情浮名横櫛』と『火の鳥』という演目でしたが、
意外に切符が取りやすかった。
早々と売切れという感じではなかったことが気になりました。
まぁ、良くないことはあまり考えずに来年も歌舞伎を楽しみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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