2026年3月の歌舞伎座は、昼の部では『加賀見山再岩藤』、夜の部では『三人吉三巴白浪』というふたつの通し狂言がかかります。
通し狂言というのは、そのお話の最初から最後までを、ストーリーがつながるように上演することです。
最近の歌舞伎は、有名な見どころシーンだけをいくつかピックアップして並べる「詰め合わせセット(見取り上演)」が多いのですが、それに対して「一本の映画を最初から最後まで観る」ようなスタイルを通し狂言と呼びます。
お話が分かやすいので、歌舞伎ビギナーの方には是非お勧めしたい上演スタイルです。
三月大歌舞伎の公演概要や配役、お楽しみポイント、チケット情報などについてまとめましたので観劇の参考にしていただけたら嬉しいです。
三月大歌舞伎 昼の部
通し狂言 加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)
河竹黙阿弥 作
加賀山直三 補綴
骨寄せの岩藤
発端 多賀家下館奥庭の場
序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場
浅野川々端の場
浅野川堤の場
二幕目 八丁畷三昧の場
花の山の場
三幕目 多賀家奥殿草履打の場
四幕目 鳥井又助内切腹の場
大詰 多賀家下館奥庭の場
配役
| 岩藤の霊/鳥井又助 | 尾上 松緑(Bプロ) |
| 坂東 巳之助(Aプロ) | |
| 二代目尾上 | 中村 萬壽(Bプロ) |
| 中村 時蔵(Aプロ) | |
| 花房求女 | 中村 萬太郎 |
| 梅の方 | 坂東 新悟 |
| 花園姫 | 市川 男寅 |
| 安田の若党勝平 | 中村 虎之介 |
| 又助妹おつゆ | 中村 莟玉 |
| 蟹江主税 | 中村 歌之助 |
| 又助弟志賀市 | 中村 種太郎 |
| 奥女中宮越 | 中村 歌女之丞 |
| 奥女中関屋 | 澤村 宗之助 |
| 蟹江一角 | 坂東 亀蔵 |
| 松浪主計 | 中村 松江 |
| 望月弾正 | 中村 芝翫 |
| お柳の方 | 中村 扇雀 |
| 安田帯刀 | 中村 又五郎 |
| 多賀大領 | 七代目尾上 菊五郎 |
お楽しみポイント
2026年1月国立劇場で上演された初春歌舞伎公演『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』の後日譚です。
前作で、中老・尾上を自害に追い込んだ悪女・岩藤は、尾上の召使いだったお初によって討たれました。
それから数年後が物語の舞台です。
2026年3月の歌舞伎座では、この演目が通し狂言として上演されます。
岩藤の「骨寄せ」とケレン味あふれる演出
最大の見どころは、バラバラの白骨が合体して岩藤の姿になる「骨寄せ」の場面です。
歌舞伎ならではのケレン(視覚的な仕掛け)がたっぷりで、不気味ながらもエンターテインメント性はバツグン!
幻想的な宙乗り
岩藤の亡霊が空を舞う「宙乗り」は必見です。
劇場全体を使ったダイナミックな演出は、歌舞伎座の大空間でこそ映えるスペクタクルです。
ひとり多役の「早替わり」
今回、尾上松緑さんと坂東巳之助さんが岩藤の霊と鳥井又助を勤めますが、敵役の岩藤の霊と正義の味方の鳥井又助の3役の演じ分けや早替りも楽しみにしたいポイントです。
幽霊と生身の人間で「草履打」再び
前作『旧錦絵』の名シーン「草履打」が、人間対幽霊という形で再現されます。
執念深くて禍々しい岩藤の凄みと、それに耐える二代目尾上の対比が、物語の緊迫感を高めます。
1月の国立劇場では、岩藤によって自害に追い込まれた尾上を演じた中村時蔵さんが、二代目尾上となって歌舞伎座で岩藤と対峙する展開も興味深いですし、それを父の中村萬壽さんとダブルキャストで勤めるというのも興味深いです。
国立からの流れで、AプロBプロ両方観なくちゃと意気込んでいる人も多いかと思います。
そして七代目尾上菊五郎親父様もご出演なので楽しみです!
三月大歌舞伎 夜の部
壽春鳳凰祭(いわうはるこびきのにぎわい)
今井豊茂 作
配役
| 帝 | 中村 梅玉 |
| 女御 | 中村 雀右衛門 |
| 大臣 | 坂東 彦三郎 |
| 大臣 | 中村 歌昇 |
| 女御 | 坂東 新悟 |
| 大臣 | 大谷 廣太郎 |
| 女御 | 中村 種之助 |
| 大臣 | 中村 橋之助 |
| 女御 | 市川 男寅 |
| 女御 | 市川 門之助 |
| 女御 | 市川 高麗蔵 |
| 大臣 | 河原崎 権十郎 |
| 女御 | 市村 萬次郎 |
| 大臣 | 大谷 友右衛門 |
| 女御 | 中村 魁春 |
お楽しみポイント
今の歌舞伎座が新開場して1周年を記念して特別に作られたのがこの舞踊です。
歌舞伎座のシンボルマークであり、古くからおめでたい鳥として親しまれてきた鳳凰(ほうおう)をモチーフに、平安時代のキラキラした華やかな空気感のなかで、世の中の平和と、これからも歌舞伎がどんどん盛り上がっていくことを願って踊られます。
「女御」の意味が解らなかったので調べてみたら、「にょうご」と読むそうで、天皇のお妃候補で、有力な貴族のお嬢さんなどだそうです。
なんともきらびやかで眼福な一幕となりそうで楽しみです!
通し狂言三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
河竹黙阿弥 作
序幕 大川端庚申塚の場
二幕目 割下水伝吉内の場
本所お竹蔵の場
三幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
裏手墓地の場
元の本堂の場
大詰 本郷火の見櫓の場
浄瑠璃「初櫓噂高音」
配役
<序幕・二幕目>
| お嬢吉三 | 中村 時蔵 |
| お坊吉三 | 中村 隼人 |
| 和尚吉三 | 尾上 松緑(Aプロ) |
| 坂東 巳之助(Bプロ) | |
| 手代十三郎 | 市川 染五郎 |
| 伝吉娘おとせ | 尾上 左近 |
| 釜屋武兵衛 | 市村 橘太郎 |
| 八百屋久兵衛 | 嵐 橘三郎 |
| 土左衛門伝吉 | 中村 歌六 |
<三幕目・大詰>
| 和尚吉三 | 尾上 松緑(Aプロ) |
| 坂東 巳之助(Bプロ) | |
| お嬢吉三 | 中村 時蔵 |
| お坊吉三 | 中村 隼人 |
| 手代十三郎 | 市川 染五郎 |
| 伝吉娘おとせ | 尾上 左近 |
| 堂守源氏坊 | 中村 吉之丞 |
| 八百屋久兵衛 | 嵐 橘三郎 |
| 長沼六郎 | 市川 男女蔵 |
お楽しみポイント
ひとことで言うと、同じ「吉三(きちさ)」という名前を持つ3人の泥棒が、運命に翻弄される物語です。
偶然の出会いと義兄弟の契り
節分の夜、隅田川のほとりで、3人の泥棒(お嬢吉三、お坊吉三、和尚吉三)がバッタリ出会います。
彼らは意気投合し、「これからは兄弟として助け合おうぜ!」と義兄弟の契りを結びます。
呪われた100両と名刀「庚申丸」
ですが、彼らの周りでは、紛失した「100両の金」と「家宝の刀(庚申丸)」を巡って、恐ろしい因縁が絡み合っていきます。
切なすぎる結末
実は、お嬢とお坊は「生き別れの兄妹」だったことが発覚。
そんなことは知らない二人は愛し合ってしまっていたのです…。
和尚吉三は、逃げ場を失った弟分たちのために、悲しい決断をすることに。
最後は雪が降りしきる中、3人揃っての壮絶な大立ち回りへと向かっていきます。
歌舞伎界の「美」が詰まった「大川端」のシーン
劇中の序盤、お嬢吉三が美しい振袖姿で現れ、実は男(泥棒)だと正体を明かすシーンは超有名です!
「月も朧(おぼろ)に白魚の…」という七五調のリズミカルなセリフは、音楽を聴いているような心地よさ。
豪華な3人の「並び」
タイプの違う3人のイケメン泥棒(女装の美少年、お坊ちゃま、頼れる兄貴分)がズラリと並ぶ姿は、江戸のアイドルのような華やかさです。
女装の美少年お嬢吉三は中村時蔵さん、お坊ちゃまのお坊吉三は中村隼人さん、頼れる兄貴の和尚吉三を、尾上松緑さんと坂東巳之助さんが勤めます。
どう考えても2回行かなくちゃなりません!
幻想的な「雪の立ち回り」
クライマックスは、舞台いっぱいに雪が降る中での立ち回りのシーン。
美しい雪の中で、屋根の上を駆け回ったり、刀を振り回したりする演出は、見た目にも美しく、また役者の身体能力にも目を奪われるシーンです。
悲劇的なストーリーなのに、視覚的にはとにかく美しいという、歌舞伎独特の美学を体験できます。
手代十三郎と伝吉娘おとせという双子の兄弟を勤める市川染五郎さんと尾上左近さんも楽しみにしたいところです。
三月大歌舞伎 公演概要
| 公演期間 | 2026年3月5日(木)~26日(木) | |
| 昼の部(開演~終演予定) | 11:00~15:08頃 | |
| 夜の部(開演~終演予定) | 16:30~20:21頃 | |
| 休演日 | 11日(水)、19日(木) | |
| 劇場 | 歌舞伎座 | |
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料金(税込)
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特等席 | 20,000円 |
| 1等席 | 18,000円 | |
| 2等A席 | 15,000円 | |
| 2等B席 | 14,000円 | |
| 2等C席 | 9,000円 | |
| 3階A席 | 6,500円 | |
| 3階B席 | 5,000円 | |
| 1階桟敷席 | 20,000円 | |
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まとめ
2026年3月の歌舞伎座「三月大歌舞伎」について公演概要や配役、お楽しみポイント、チケット情報などについてまとめました。
昼の部は『加賀見山再岩藤』、夜の部では『三人吉三巴白浪』というふたつの通し狂言がかかります。
お話が分かりやすいスタイルなので、歌舞伎ビギナーの方にも是非お勧めしたい興行です。
それともうひとつ、出演者が多いのでイヤホンガイドを借りられることをお勧めします。
目で追っているとお話が先に進んでしまうので、イヤホンガイドを是非ご用意ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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