【観劇レポ】第31回 稚魚の会・歌舞伎会合同公演 2025年浅草公会堂|若手歌舞伎俳優の熱演を徹底レビュー

観て来ました!

2025年8月14日(木)~17日(日)に浅草公会堂で行われた「第31回稚魚の会・歌舞伎会合同公演」に行ってきました!

この公演は、国立劇場養成所の研修を修了して歌舞伎界に入った俳優からなる稚魚の会と、直接幹部俳優に入門した俳優からなる歌舞伎会の若手が日頃は演じることができないメインとなる役を勤め発表する場なんです。

8月16日(土)の公演を観て来ましたのでその時の様子をレポートします。

浅草公会堂に入ってみると

この日もとても暑い浅草でしたが、そんなことは気にもせず髪の毛まできれいに結い上げた浴衣姿の女性や、きちっと着物を着こなして汗ひとつかかないお姉さま方が写真の撮りっこをしていたりで華やかな雰囲気に包まれていました。

そしてロビーに向かうとスーツ姿の俳優さんが受付で出迎えてくださり、キャーでございました。

お目当ての隼之助クンもさわやかな笑顔で、ごひいきの方々にご挨拶されていました。

開演前には、注意事項や演目やお役の紹介、意気込みなどが出演者の声でアナウンスされさらに気持ちが盛り上がります!

それでは、演目についてのレビューを

一幕目『双蝶々曲輪日記 八幡の里引窓の場』

亡くなってしまった父親の後妻で血の繋がらない母親お幸(中村好蝶)と廓出身の妻お早(中村春江)と仲良く暮らす南与兵衛後に南方十次兵衛(中村蝶也)、与兵衛は郷代官職を拝命し、立派な着物と刀を与えられルンルン気分で帰宅します。

そして彼に与えられた最初の仕事が濡髪長五郎(市川新八)というお尋ね者を捕まえることでした。

それがなんと母お幸が前の夫と別れる際に里子に出した義理の兄(お幸にとっては血の繋がった実子)、しかも兄は母親に合うために今まさに家に来ているというシチュエーション。

幕開けは、お幸とお早のシーン。

お早の春江さんはなんとも色っぽくて明るい声で、それが幸せに暮らしていることが手に取るようにわかるかわいらしさ。

つい出てしまう廓言葉をたしなめられても、ほのかな色気とかわいらしさがでてしまう。

母お幸、実子の濡髪と、先妻の子である与兵衛、その母親だから60歳くらい?

とにかく自分のおばあちゃんくらいの女性を演じるのが好蝶さん。

声も姿かたちも、立ち居振る舞いも完全にお婆さんの姿で、ひょっとしてこの役だけはどなたかベテランさんがなさってる?と思ってしまうくらいでした。

濡髪潮五郎、声と姿の大きさでこのお芝居を終始引っ張っていた感じ。

素顔は端正なお顔立ちなのに、お化粧をして髷を結ったお相撲さんの姿になると顔の大きさも1.5倍増しくらいで存在感がありました。

そして、与兵衛ですが、自分の父親と同じ仕事を拝命しルンルンで家に帰ってきます。

その姿が愛らしくて、喜びに満ち溢れていて観ているこちらまで幸せな気分になるのですが、家にお尋ね者がいることを観客の私は知っているわけで、ハラハラ

まだ武士になり切れない与兵衛が、一夜のうちに南方十次兵衛という武士に変化していく感じが、蝶也さんの最初の可愛さと、兄を逃すところのキリっとした十次兵衛、立派になったなぁと感じました。

そして十次兵衛にお勤めを告げに来る平岡丹平(市川左次郎)と三原伝造(中村又康)も安定感があり舞台を引き締めていたなと、

『引窓』を観るのは何回目かですが、やっと自分の中にしっくりきました。

二幕目『棒しばり』

「棒しばり」はお酒好きの家来が主人の留守中にお酒を飲んでしまうので、外出する際に一人は両手を広げて棒に手をかけた状態で、ひとりは後ろ手に縛られて留守番をさせられる。

ところがやっぱり二人はなんとかしてお酒を飲み、とうとう大酔っ払いになってしまうという舞踊の演目です。

頭ひとつ飛びぬけているんじゃないかと思うくらい背の高い主人の曽根松兵衛(中村扇五郎)そしてちっさい次郎冠者(市川右田六)と太郎冠者(尾上音蔵)

この大きさのコントラストが楽しくて、大きな主人とちょこまか動く使用人の区別感が出ていてとても良かったと思いました。

とにかく、お酒を飲むためには知恵を巡らせて、何としてでも飲む!!

酒飲みにはとてもよくわかるシーン

手を棒に縛られていても、後ろ手に縛られていてもなんとか動き回り、仲良くお互いにお酒を飲ませあうふたり

そして杯はどんどん進み、酔っぱらいながらも踊り、ちょこまか動くふたり

太郎冠者の音蔵さんの表情も愛らしくて、楽しい一幕でした。

中村扇五朗さんの曽根松兵衛も貫禄があって良かった!

これまで舞踊の名手と言われる俳優さんが取り組まれてきたハードルの高い演目で、さらにただ踊れればいいというわけでなく、

お酒を飲みたい者の心理描写、酔っぱらってからも小粋に踊る様子、技巧などなどまだまだ課題はあると思いましたが、研修所20期トリオでの再演を願っております。

 三幕目『勢獅子』

鳶頭鶴吉(尾上音幸)、鳶頭亀吉(市川福五郎)の鳶頭2名、

拵えが人を作るのかなぁ、とても立派でかっこいい、粋な感じもする!

特に鳶頭鶴吉が昭和の映画スターみたいな佇まいで、ニヒルでなんとも言えない味があって、今後も注目していきたいです。

芸者三人衆、お泉(片岡市也)お龍(坂東家之助)は大人の色香で、

そんな中にお隼(中村隼之助)は初々しくて、実年齢なら振袖さんくらいのお年頃じゃないかと思うんですが、とてもチャーミングでした。

そして獅子舞ですよ獅子舞、動きもダイナミックで、大きな獅子

さらに柔軟性もあって愛嬌もある獅子で、さすがの獅子舞でした!

ミーハー的ハイライト!これからも注目したい若手5選

『双蝶々曲輪日記 八幡の里引窓の場』

濡髪潮五郎 市川新八

母お幸 中村好蝶

『棒しばり』

次郎冠者 市川右田六

『勢獅子』

鳶頭鶴吉 尾上音之

獅子舞の中の人

市川新八さんの濡髪潮五郎は存在感たっぷりで、声の強さと大きさ、セリフも良くて、團十郎さんの御一門の方ですが、今後も気にしていきたいと思います。

中村好蝶さん、ひょっとしたら老け役しか来なくなるんじゃないかと心配な部分もありますが、かわいい長屋娘や、中居、後見など幅広くできる方だとわかりましたのが収穫です!

市川右田六さん、今回勤められた次郎冠者は、棒に縛られたまま踊らなければならない難しい踊りで、名手と呼ばれる俳優さん勤められたお役に果敢にチェレンジされたということは評価できると思います。

その名手と呼ばれる俳優さんの域にまで達することができるまで、見守っていきたいと思います。

尾上音之さんの鳶頭、存在感と流し目、昭和のスターのような佇まいに惚れました。

菊五郎劇団、こんなカッコいい人隠しておいてズルイズルイ!九月の歌舞伎座にご出演があるかな?

獅子舞の中の人はどなたなのか私にはわからないのですが、5月に歌舞伎座で拝見した坊ちゃん方のそれより大きくて、しなやかで、愛らしい獅子舞でした!!

まとめ

普段の公演では、大勢のお侍のひとりや、腰元、通行人などスポットが当たらない役を勤めることが多いのが、研修所出身や直接入門したお弟子さん達。

そんな人たちが、中心になるお役を勤める数少ない機会が「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」です。

若手役者たちの真剣さとエネルギー、そして舞台を楽しんでいる雰囲気が観客にしっかり伝わってきて、アフターでいただいたビールの味も格別でございました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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