2026年1月の国立劇場主催歌舞伎公演は、通し狂言『鏡山旧錦絵』(かがみやまこきょうのにしきえ)です。
現在、半蔵門の国立劇場が閉場中なので初台の新国立劇場開催されております。
事前に公開された彌十郎さんの岩藤の衣装を着けたお写真がインパクトあり過ぎで楽しみに拝見して参りました。
観劇レポートをまとめました。
ネタバレがあるかもしれませんのでご注意ください。
通し狂言 鏡山旧錦絵 四幕七場
『鏡山旧錦絵』は、いわゆる“加賀騒動”を下敷きにした、お家騒動×女の仇討ちのお芝居です。
舞台は鎌倉時代。
主人である中老尾上を、意地悪で悪知恵全開の岩藤が陥れて、自害に追い込んでしまうところから物語は一気に重たい空気に…。
でも、そこで立ち上がるのが健気な召使いのお初!
ご主人様の無念を晴らすべく「草履打ち」からクライマックスの仇討ちへと突き進みます。
草履と懐剣で岩藤に打ち勝ち、仇討ちの本懐を成し遂げるという正に「女版・忠臣蔵」と呼ばれる内容です。
最後にはお初が二代目尾上に取り立てられるというご褒美展開もあって歌舞伎ビギナーの方にも解りやすい、予習不要の演目です。
局、中老、召使い 3人の女
局岩藤:坂東彌十郎
奥女中の総監督であるお局様。
お家転覆をい目論む上に、現代でも使われるお局様という言葉が示す通りの、古株の意地悪なおばさん。
歌舞伎俳優最高神長を誇る彌十郎さんが勤める女方、小さく見えるわけがありません。
その体格とお化粧のインパクトでが見た目にもわかりやすい嫌な女ぶりで、侍女を従えた姿も、時蔵さん8菊五郎さんと相対した姿にも迫力があり過ぎて絵になる絵になる。
この配役を考えた人天才!
中老尾上:中村時蔵
若くて誠実、息女大姫からの信頼も厚く、召使からも慕われる中老尾上。
局から見ると下のポジションであるがゆえに、岩藤から目の敵にされ、御家転覆の企てに利用され、自害に追い込まれます。
なんとも悲しく辛抱強いお役を、この3人の俳優の中で最年少の時蔵さん(38歳)が勤めるってただ事じゃない。
私は当初お初をやるんだと思っていました。
が、何と見事に、口惜しさ、儚さ、優しさ、消えゆく者の覚悟、複雑な感情表現が見事に描かれていました。
特に、尾上の部屋に戻ってから、リラックスウェアにきがえたところからが私の好きなシーンなのですが、透明感があって
ほとんどセリフのない中、哀しく響三味線の音色と、時々差し込んでくる葵太夫さんの竹本が場の空気を作っていました。
時蔵さん、襲名されてからの伸びしろが大きすぎます。
召使いお初:八代目 尾上菊五郎
十八年前の上演の際にもお初役で拝見しているのが、八代目菊五郎さん。
玉三郎さんの尾上と七代目菊五郎さんの岩藤に食らいついていくような若々しいお芝居が印象的でした。
当時30歳だったんだなぁ・・・。
時は経ちましたが、八代目のお初の若々しさ、フレッシュさ、一途さはより若々しくて応援したくなるようなそんなお初でした。
八代目のアンチエイジング力を見習いたい(^^)
でも、二代目尾上を継ぐことになることの納得度が高いというか説得力の強さはやはり年齢を経てからこそかなと思ったり。
しかし、初役で勤めたお役の2度目が18年後って、歌舞伎俳優ってホントに年齢は関係ないなと思いました。
牛島主税、奴伊達平、庵崎求女 3人の男
この3人の男が物語をぐりっと動かし、見た目にも変化をつける実にピリッとした存在なのです。
お初が尾上から、自分の遺書を母親に届けるというお使いに出されたときに遭遇するのが牛島主税と奴伊達平。
牛島主税:市村橘太郎
岩藤一味で赤っ面。悪い奴です。
奴伊達平と争いながら登場し、そこにお初が巻き込まれお初が持っていた文箱の中身あらわになり、それが遺書だと解り、お初は尾上の元へ取って返す。
そして、こやつが持っていた蘭奢待(尾上が紛失したと汚名を着せられた家宝)は奴伊達平が無事に取り返すという短くも緩急の急の部分を面白く見せるところです。
ここが最後のめでたしにつながりますが、このバタバタしたシーンがあることで一瞬寝そうになっていた観客を目覚めさせる大事なお役。
橘太郎さんのユーモアありながらのバタバタが良かった!
奴伊達平:坂東彦三郎
こちらは、頼朝サイドの味方。
繻子奴(しゅすやっこ)、伊達奴(だてやっこ)、色奴(いろやっこ)などと言われる、カッコいい方の奴さんです。
華やかな衣装を身に着け白塗りのいい男。
その上、牛島主悦が持っていた蘭奢待を取り返してくれるという働きで、出番は少ないけれどファンには文句なしのカッコよさ!!
私はこれを観に来たと言っても過言ではない!(←オイ( 一一)
あぁ、彦三郎さんのイケボで「ねい」が聞けてほんとに嬉しい!
庵崎求女:中村萬太郎
悪事を働く局岩藤一派と対立する側の人物です。
いい人、故に白塗り、カッコいい!
尾上の遺書によって岩藤一味の悪事が明らかになった後、庵崎求女が登場し、家宝の名香“蘭奢待”が伊達平の働きによって無事に取り戻されたことを告げる役割を担います。
決して派手な役ではないけれど、明るい未来の始まりにつながる大切なことを報告するお役が、尾上時蔵の実弟の萬太郎さんという事にキュンです。
悪役はひとり混じってはいるもののこの三人の芝居が、物語を動かしていくという意味で女方三人をしっかりささえているように思えてなりませんでした。
モチロンほかの配役のみなさんもなんですが、特にこのお三方がということです。
大詰め、右大将頼朝花見の場
尾上は自害してしまったけれど、お初が見事に敵を討ち、大姫の大切な尊像と家宝の蘭奢待を無事に取り返すことができて一件落着という事で、
頼朝方が集まって花見の宴となります。
そこには、源頼朝の七代目尾上菊五郎さん、頼朝御台所政子の中村魁春さん、大江広元の坂東楽善さん、中村時蔵さん二役目の畠山重忠、坂東彌十郎さん二役目の北条時政が勢ぞろいして、
「今年も歌舞伎は国立劇場へ」のご挨拶の後に、手ぬぐい撒きがあって幕となりました。
菊五郎親父様の時政にかける言葉は気が利いてるし、大姫の中村玉太郎さんは赤姫もピンク姫もかわいらしくて品が良く、楽善さんもお元気そうで何よりの大団円でした。
いいもの見せてもらった!!
まとめ
2026年1月の国立劇場主催歌舞伎公演、通し狂言『鏡山旧錦絵』(かがみやまこきょうのにしきえ)を1月11日に拝見しましたのでそのレポートです。
このチケットは取りやすく、まだまだあるという事です。
予習なしで理解できる内容ですので、是非ご観劇ください。
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